これまでの標準的経済学は、様々な経済現象を合理的な人間行動の結果として整合的に説明することに成功し、経済政策に有効に用いられてきました。
しかし近年、人々の貨幣に対する選好の特殊性・習慣形成による選好の変化・不確実な状況での損失回避行動など、狭い意味での合理性の仮定と矛盾するような実証結果が多く観察されるようになってきました。また、合理的な人間行動を前提とした理論では、バブル経済やクレジットカード破産などの社会の病理を描写することが難しいのが現実です。このような現在の経済学が直面している隘路を乗り越えるには、狭い意味での合理性の仮定を見直し、人間が経済社会の中で実際にどのように行動しているのかを研究する科学、行動経済学の発展が不可欠なのです。
本学会は、日本における行動経済学研究の促進を図り、その研究に関心のある広い分野(経済学、ファイナンス会計、経営、マーケティング、心理学、政治学など)の研究者、実務家、学生に会員となり、交流を深めるように呼びかけ、研究者の核となる場を提供するため、設立されました。